永遠に未完の大器

現在進行形の黒歴史ノート

きのこしね

俺は現在扶養されているスネかじりオタク虫なので、晩御飯の献立はいつも餌をくれる優しい母次第なんだが、今日は鍋だった。

それもキムチ鍋で豆腐に白菜、それにうまい肉が入っためっちゃうまいやつだった。肉はうまい。べらぼうに美味かったが育ち盛りのイモムシキモキモオタクには少々少なく感じたがそれでもうまいからいいやってくらい美味かった。

 

しかし不満があった。それは前述した量の少なさではなく、いややっぱ正直それもあったけどそれ以上に鍋に入ってた「きのこ」が嫌だった。

きのこは嫌いだ。だってまずい。味もまずいし食感も最悪。なんかキモい。まずいにキモいがフュージョンして昔は食べられなかった。今は食えるから俺はえらい。

この旨は母には伝えていて、マッマは過保護だからできるだけ俺の食べるもんにはきのこを入れないでくれる。優しい。だがそんな気遣いも鍋だと届かない。

嫌いなら取らなきゃいいじゃんというが、あの菌類は菌類らしく気づかないうちに俺のお椀に潜んでいる。

豆腐をおたまですくって入れた時、肉や野菜を箸で掴んで入れた時、おいしい鍋のスープを入れる時、伸びたラーメンをよそって満足している時、気づけば奴はそこにいる。バイオテロですか?

白い茎の部分は肉やラーメンとぱっと見似ていて取り違えやすいし、黒い傘の部分も独立して小さくなることであらゆる場面で潜り込んでくる。

俺は許せない。だって本当にまずいんだもの。

この世のきのこというきのこが憎い。俺の至福の時を邪魔するあのまずさ、食感、風味をこの世から消し去れたらどんなに素晴らしいことだろうか。

しかしそれはできない。物理的に不可能とかそういう理由もあるけどそれだけじゃない。

何故ならきのこを好きな奴もいるから。きのこが好きで鍋に入れるお母様もいらっしゃるから。

俺はまずくてこの世から消えて欲しいきのこでも、それを作るのに必死になって、中には人生さえ捧げているきのこ農家の方々もいる。

そんなことを俺の独断でしてしまったなら、俺は俺の好きなものや人生をそういう人達に奪われても自業自得でしかない。

だから嫌いなものを世から排除するのはダメなんだなって思いました😸きのこしね